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2008年4月29日 (火)

宮本常一「中国地方の文化と生活」

昭和53年10月17日に広島県三次市で、宮本常一先生による「中国地方の文化と生活」という講演が行われました。この広島県統計大会の講演で、広島県の広報誌に掲載されたままになっていたのですが、30年経った今なお光放つと、脚注をつけたものが地域づくり情報誌の「かがり火115号 」(2006年11月)~116号の2回に分けて掲載されました。掲載にあたっては、かがり火編集部他関係機関の大きなご尽力がありましたことを申し添えます。
誌面イメージ前半(pdf) 後半(pdf)です。

中国地方の文化と生活(ダイジェスト)
 武蔵野美術大学名誉教授・日本観光文化研究所長 宮本常一 
 と き 昭和53年10月17日開催の第29回広島県統計大会記念講演 
 ところ 三次市文化会館

 一握りの人達の文化が日本全体の文化だと、皆さんがたは今日まで信じこんできたのではないかと思います。実は日本の知識階級の人達が本当に日本の文化を理解していない。研究をしているという人達が本当に研究をしていないのです。日本における色々の今日までの学者だとか評論家などが本当に、日本をどれほど理解しているだろうか。
 文化というのを本当に理解しようとするためには、我々自身が一緒に仕事をし体験しないといけない。もっと大事なことは日常に人びとは何をしているのかを細かく聞きとめていかなければいけない。
 今日の学問というのは、偉い人がこう言っているからと思い込こんでしまうことが非常に多いのではないでしょうか。自分自身に納得のいかないものというのは、どうしてももう一遍自分の目で確かめる、それが大事なことになってくるんだと思うんです。
 私は地域社会を本当に作り上げていくためには、まず人間関係というのを大事にしていくことが必要ではなかろうかと思うのです。それを無視して地域社会の発展はない。どんなに自分の環境が近代化しても我々はそれだけでは満足できないのです。我々の人間関係がよくならなければ、本当に生きがいを感じることはできないわけです。こういうもののすべてが文化であります。それを投資したからといって投資効果はいきなり起きてこないのです。けれどもその中で生まれた人間関係というのは、やがて人間の大きなエネルギーを生んで来ます。そして社会全体にはね返ってくる。はね返る力を持った時に、それを我々は文化の力というのです。
 これほどのよい自然に恵まれておって、そこにあてのないものが作られておる。人の住む場所だけをよくすることで町はよくなるのではないのです。その周囲にひろがる自然ももっとその生活や文化をたかめるために利用すべきです。目さきのことだけでなく、環境全体と今後どのようにかかわりを持つか。そういうことが、皆さん方の与えられている課題ではないんでしょうか。
 きれいな着物をきて、いい物を食べて、こういう会場へ集まって、そして話すだけで文化は高まるのではないのです。自分らの与えられている環境をどう自分らの手で開いていくかという努力の中に文化があるのです。生活の向上があるのです。

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